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EG Synchro FXサポートです。
今週(先週)のレビュー
- 今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0805で寄り付いた後、翌4/19にかけて、週間安値1.0761まで下落しました。
- ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まり(プーチン露大統領が5/9の対独戦勝記念日に勝利宣言を行うとの警戒感)
- 上記を背景とした欧州経済の先行き不透明感(エネルギー価格上昇に伴う欧州経済への下押し圧力)
- 米金利上昇に伴うドル高圧力
しかし、4/14に記録した約2年ぶり安値1.0758まであと一歩のところで下げ渋ると、
以下の要因が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0937(4/11以来の高値圏)まで急伸しました。
- イースターマンデー明け欧州勢の買い戻し(ショートカバー誘発)
- 米主要株価指数上昇に伴うリスク選好のクロス円買い(ユーロ円上昇→ユーロドル連れ高)
- ドイツ3月生産者物価指数(結果30.9%、予想28.2%、前回25.9%、※前年比)の伸び率昂進(1949年の統計開始以来、最大の伸び率)
- ラトビア中銀カザークス総裁やドイツ連銀ナーゲル総裁、デギンドスECB副総裁による7ー9月の利上げを示唆するタカ派的な発言
- 上記を背景としたECBによる早期利上げ観測再燃(欧州債利回り上昇→ユーロ買い)
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと(4/11高値1.0951をバックに戻り売り圧力が強まると)
下記要因が重石となり、1.0794前後まで値を崩す展開となっております。
- 米FRBによるタカ派傾斜観測(パウエルFRB議長が5月FOMCでの50bp利上げを示唆)
- 上記を背景とした米長期金利の急上昇
- ロシア・ウクライナを巡る戦況悪化(ロシア軍がウクライナ南東部の都市マリウポリの掌握を宣言)
- ラガルドECB総裁による「成長見通しをさらに引き下げなくてはならない」との悲観的な発言
- 米主要株価指数下落に伴うリスクオフ再開(市場心理悪化→VIX上昇)
来週(今週)の見通し
ユーロドル相場は週後半にかけて一時1.0937(4/11以来の高値圏)まで上値を伸ばすも
4/11高値1.0951をバックに伸び悩むと、週末にかけて再び、直近安値圏となる1.0757まで反落しました。
上値トライに失敗したことや、主要テクニカルポイントが軒並みローソク足の上側に位置していること(上方に複数のレジスタンスポイントが控えていること)
強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や、移動平均線のパーフェクトオーダーが成立していることなどを踏まえると、
テクニカル的に見て、地合いは「極めて弱い」と判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、下記要因でユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。
- ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの継続(ロシア軍がウクライナ南東部の都市マリウポリの掌握を宣言。5/9のXデーに向けて戦況が一段と悪化するとの警戒感)
- 上記を背景とした欧州経済の先行き不透明感(欧州各国による対露制裁強化→欧州圏におけるエネルギー不足とインフレ昂進リスク→欧州経済への下押し圧力)
- 米FRBによるタカ派傾斜観測(大幅連続利上げと早期バランスシート縮小の組み合わせ)
- 欧米金融政策の方向性の違い(ECBによる利上げは年3回までが織り込み済み→更なる利上げを織り込まない限りユーロ買いでの反応は限定的)
以上を踏まえ、引き続き、ユーロ売り・ドル買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週は4/24に予定されているフランス大統領選の決選投票(マクロン氏vsルペン氏)や、欧州当局者発言(フランス中銀ビルロワドガロー総裁、ベルギー中銀ウンシュ総裁など)、
ドイツ4月IFO景況指数、ユーロ圏4月消費者物価指数などに注目が集まります。
フランス大統領選でルペン氏が逆転する事態となれば、フランスの政局不透明感の高まりを通じてユーロドルに下押し圧力が加わる展開が想定されます。
一方、欧州当局者よりタカ派的な発言や、欧州経済指標が市場予想を上回る場合には、
一時的にユーロ買いで反応する可能性があるものの、市場は既にECBによる年内利上げを3回程度織り込んでいるため、
こうした見方を覆す(更なる利上げを織り込む)内容にならない限り、ユーロ買いには繋がらないと予想されます。
来週はユーロドルの下落リスクに警戒が必要でしょう(4/14に記録した約2年ぶり安値1.0758を下抜ける展開を想定)。
今週のFX用語
ゼロ金利政策
日銀や欧州中銀FRBなどが実施した市場に大量の資金供給をして政策目標の短期金利を実質ゼロに近い水準まで引き下げて景気浮揚を狙った政策。
日本銀行が1999年より実施したがそれまで金利をここまで引き下げた国は歴史上存在していなかった。
当初は緊急処置的な政策とされたが、予想されたような弊害があまり生じなかった一方で景気浮揚効果も十分ではなく、
結果一時てに解除された期間はあったものの現在に至るまで15年以上この異常事態が続いている。
※なお、日本では現在マイナス金利をとっております。