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EG Synchro FXサポートです。

今週(先週)のレビュー

今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0405で寄り付いた後、以下要因で週明け早々に、週間安値1.0388まで下落しました。

  • ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念
  • フィンランドやスウェーデンによるNATO(北大西洋条約機構)への加盟申請(ロシアを巡る地政学的リスクがウクライナから北欧に飛び火するリスク)
  • 中国経済の失速懸念(中国の主要経済指標の不冴な結果→市場心理悪化→リスク回避のドル買い圧力)

しかし、前週末金曜日(5/13)に記録した約5年4ヵ月ぶり安値1.0350(2017年1月以来の安値圏)をバックに下げ渋ると、
下記などが支援材料となり、週後半にかけて、5/5以来、約2週間ぶり高値となる1.0607まで急伸しました。
引けにかけて反落するも下値は堅く、1.0558前後で推移しております。

  • フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBはユーロの実効レートを注視している」「弱過ぎるユーロは物価安定の目標に反する」とのユーロ安牽制発言
    米経済指標の冴えない結果(米経済のリセッション懸念→米金利急低下→米ドル売り)
  • オランダ中銀クノット総裁による「7月会合での25bp利上げを支持する」「データ次第でより大きな利上げに踏み切ることも除外しない」とのタカ派的な発言
  • スペイン中銀デコス総裁による「ECBは第3四半期の早い時期に債券買い入れプログラムを終了し、その後間を置かずに利上げを開始する公算が大きい」とのタカ派的な発言
  • ECB理事会議事要旨のタカ派的な内容(4/13ー4/14開催のECB理事会の議事要旨の中で一部の委員による「中期的な物価安定を達成するという政策委員会の決意を示すため遅滞なく行動することが重要」「もはやインフレ見通しには一致しない」との見解公表)

来週(今週)の見通し

ユーロドル相場は2/10に記録した約3ヵ月ぶり高値1.1496をトップに反落に転じると、5/13にかけて、約5年4ヵ月ぶり安値となる1.0350(2017年1月以来の安値圏)まで急落しましたが、
今週はショートカバー主導で持ち直し、一時1.06台まで回復する動きとなりました。

但し、上方に複数のレジスタンスポイントを控えていることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーが継続していることなどを踏まえると、
テクニカル的に見て、上値余地は限定的と判断できます(今週の反発は下落トレンドの過程で見られる一時的なショートカバーと判断。
引き続き、1ユーロ=1ドルのパリティ割れが射程圏内に入っており、一巡後の反落リスクに要警戒)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、下記要因でユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

  • ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシア・ウクライナ問題に加えて、今後はフィンランドやスウェーデンへの飛び火リスクに要警戒)
  • 欧州経済のスタグフレーション懸念(欧州圏におけるエネルギー不足→景気減速下でのインフレ昂進→スタグフレーション懸念)
  • 米FRBによるタカ派スタンスの明確化(パウエルFRB議長は今週も金融引き締めスタンスを強調)
  • ドイツを巡る政局不透明感(ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州で実施された州議会選挙で、ショルツ現首相率いる社会民主党が第1党を獲得できず)

以上を踏まえ、引き続き、ユーロドル相場の反落を来週のメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週は上記の状況を確認する上で、5/23に予定されているドイツ5月IFO景況感指数や、ユーロ圏5月製造業・サービス業PMI速報値に注目が集まります。

市場予想を下回る不冴な結果となる場合には、欧州経済の先行き不安を通じて、ユーロドルに下押し圧力が加わる恐れもあり、
来週は週明け欧州時間のダウンサイドリスクに注意が必要でしょう
(尚、来週は今週同様、ECB当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ可能性があるものの、既に織り込まれている「年4回の利上げ」を更に上回る織り込みに繋がる可能性は低いことから、
例えタカ派的な発言が相次いだとしても、ユーロ買いでの反応は鈍くなると予想されます)。

今週のFX用語

ショートカバー

ショートとは「売り」の事で、それをカバーするというのは「売りの取引」を「戻す」という事です。
売りの取引を戻す、つまりは決済する事なので買い戻す事になります。
短い期間で大量にショートが入ると利益確定のショートカバーが入ったりします。

週末など、週末リスクを軽減する為に週初に持ったショートポジションを解消する動きがある場合など、
週末に大量の買いが入る場合もあります。
こういった動きを「ショートカバーの動き」と言います。