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今週(先週)のレビュー

今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0572で寄り付いた後、早々に週間安値1.0558まで軟化しました。

しかし、21日移動平均線や一目均衡表転換線に下支えされると、
以下が支援材料となり、週末にかけて、週間高値1.0765(4/25以来、約1ヵ月ぶり高値圏)まで急伸しました。

  • ドイツ5月Ifo企業景況感指数(結果93.0、予想91.4)の良好な結果
  • ラガルドECB総裁による「金融政策は正常化に向かっている」「第3四半期末までにマイナス金利脱却の可能性大」とのタカ派的な発言
  • オーストリア中銀ホルツマン総裁による「7月会合で50bpの利上げが適切かもしれない」とのタカ派的な発言
  • ラトビア中銀カザークス総裁による「ECBは50bpの利上げを排除すべきではない」とのタカ派的な発言
  • 上記②③④を背景としたECBによる早期利上げ観測の台頭(欧州債利回り上昇→ユーロ買い)
  • 米経済指標の冴えない結果(米リセッション懸念→米ドル売り)
  • 米金利低下に伴うドル売り圧力

引けにかけて反落するも下値は堅く、1.0730前後で推移しております。

尚、今週はECB金融安定報告書にて「ユーロ圏経済見通しは弱体化している」「資産市場が急激に調整されるリスクがある」等のネガティブな見解が発表されましたが、
市場の反応は限定的となりました。

来週(今週)の見通し

ユーロドル相場は5/13に記録した約5年4ヵ月ぶり安値1.0350(2017年1月以来の安値圏)をボトムに反発に転じると、今週は一時1.0765まで急伸しました。

この間、主要レジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を上抜けするなど、
テクニカル的に見て、地合いの好転を印象付けるチャート形状となりつつあります。
但し、上方より一目均衡表の雲が垂れ下がってくる点、強い売りシグナルを示唆するパーフェクトオーダーが継続している点などを踏まえると、続伸余地は乏しいと判断できます。
来週は一巡後に反落リスクに警戒が必要でしょう(今週の上昇は下落トレンドの過程で見られる一時的な調整局面と整理。一巡後は再びユーロ売りが強まる可能性あり)。

ファンダメンタルズ的に見ても、下記要因でユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。

  • ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(ロシア・ウクライナ問題のみならず、フィンランドやスウェーデンへの飛び火リスクも残存)
  • 欧州経済の先行き不透明感(インフレ昂進と景気後退が同時進行するスタグフレーション発生への警戒感)
  • 米FRBによるタカ派スタンスの明確化(今週発表された米FOMC議事要旨で金融引き締めスタンスが再度明確化)

今週はラガルドECB総裁による「第3四半期末までにマイナス金利脱却の可能性大」との発言がサプライズとなり、
7月ECBでの25bp利上げ、9月ECBでの25bp利上げが織り込まれる展開となりました(現行の預金ファシリティ金利▲0.5%が9月末までにゼロに浮上するとの思惑→マイナス金利脱却)。
但し、欧州経済の先行き不透明感を考慮すれば、積極利上げの継続を織り込むことは容易ではなく、ECBによる金融引き締め転換を材料としたユーロ買いの賞味期限は案外短いと予想されます。

以上を踏まえ、引き続き、ユーロドル相場の反落をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週は5/30ユーロ圏5月企業景況感指数や、5/31のユーロ圏5月HICP速報値、6/1のラガルド ECB 総裁発言、レーンECB専務理事発言、
6/2のフランス中銀ビルロワドガロ総裁発言、6/3のユーロ圏4月小売売上高などに注目が集まります
(HICPが市場予想を下回る場合は、ECBによる積極利上げ観測の後退を通じて、ユーロドルに下押し圧力を加える恐れあり。
一方、HICPが市場予想を上回る場合は、7月50bp利上げ説が再浮上する可能性があるため、来週はHICPとその後の欧州当局者発言に市場参加者の関心が移りそうです)。

今週のFX用語

ISM景況感指数(サプライ管理協会景気総合指数)

全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が算出する製造業の景況感を示す指数のひとつ。旧NAPM指数。
毎月発表される米国の主要指標の中で最も早い毎月第1営業日に発表され、「ISM非製造業景況感指数(毎月第3営業日発表)」とともに
米国の景気先行指標として注目されています。

製造業(300社以上)の購買・供給管理責任者を対象に、各企業の受注や生産、価格など10項目についてアンケート調査を実施し
「良くなっている」、「同じ」、「悪くなっている」の三択の回答結果を集計し、季節調整を加えた新規受注・生産・雇用・入荷遅延・在庫の5つの指数をもとに、ISM製造業景況感の総合指数を算出します。

日本の日銀短観と類似する統計で、日銀短観がゼロを分岐点とし、+(プラス)、-(マイナス)で表すのに対し
ISM製造業景況感指数は0から100までのパーセンテージで表します。
50%を景気の拡大・後退の分岐点とし、50%を上回ると景気拡大、50%を下回ると景気後退を示します。