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EG Synchro FXサポートです。
今週(先週)のレビュー
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0552で寄り付いた後、
プーチン露大統領が戦勝記念日の式典で「特別軍事作戦」から「戦争宣言」へのフェーズ変更に踏み切らなかったことに対する安堵感を背景に、
週前半は1.05台後半での底堅い動きが継続しました。
しかし、一目均衡表転換線をバックに伸び悩むと、以下が重石となり、週末にかけて、週間安値1.0350(2017年1月以来、約5年4ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。
- ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念
- 上記を背景とした欧州経済の先行き不透明感(欧米諸国による対露制裁強化→ロシアからのエネルギー供給制約→欧州圏におけるエネルギー不足→インフレ高止まり→欧州経済への下押し圧力)
- 米インフレ指標の高止まり(米4月CPIおよび米4月PPI)
- 上記を背景とした米FRBによるタカ派スタンスの継続懸念(米FRBによる二重引き締め→過剰流動性相場逆流への警戒感→株安・リスクアセット下落→資産現金化需要のドル買い圧力)
- フィンランドによるNATO加盟申請の方針発表(フィンランドはロシアと国境を接しているため、ロシア側の反発必至→ロシア・ウクライナ問題に加えて、今後はロシア・フィンランドを巡る地政学的リスクに進展する恐れ)
引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、1.0400前後で推移しております。
尚、今週はECB高官(フランス中銀ビルロワドガロー総裁、エストニア中銀ミュラー総裁、ドイツ連銀ナーゲル総裁、ラガルドECB総裁など)よりタカ派的な発言が相次ぎましたが、
市場の反応は限定的となりました。(年内25bp×3回という市場の織り込み度合を変えるには至らず)
来週(今週)の見通し
ユーロドル相場は2/10に記録した約3ヵ月ぶり高値1.1496(昨年11/10以来の高値圏)をトップに反落に転じると、
今週末にかけて2017年1月以来、約5年4ヵ月ぶり安値となる1.0350まで急落しました(わずか3ヵ月で1146ポイントの急落劇)。
この間、主要テクニカルポイント(一目均衡表転換線や基準線、雲上下限や短・中・長期移動平均線など)を軒並み下抜けした他、
強い売りシグナルを示唆する三役逆転や弱気のパーフェクトオーダーが成立するなど、
テクニカル的に見て、地合いの弱さを決定づけるチャート形状となりつつあります。(パリティ割れが射程圏内)
また、ファンダメンタルズ的に見ても、以下要因でユーロドル相場の下落を連想させる材料が揃っています。
- ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念
- ロシア・フィンランドを巡る地政学的リスクの発動懸念
- 上記を背景とした欧州経済への下押し圧力(欧州圏におけるエネルギー不足→インフレ昂進リスク→スタグフレーション懸念)
- 米FRBによるタカ派スタンスの明確化
(米FRBは通常時の2倍となる50bpの利上げを続ける意向を示している他、バランスシートの圧縮も開始→二重引き締め→欧米金融政策格差→ユーロ売り・ドル買い) - ドイツを巡る政局不透明感(ショルツ首相率いる社会民主党=SPDの支持率低下)
以上を踏まえ、引き続き、ユーロ売り・ドル買い基調の継続をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインや、フィンランドのNATO加盟に関する続報に加えて、
欧州高官発言(パネッタ ECB専務理事、レーンECB専務理事、ラガルドECB総裁、デギンドスECB副総裁、オーストリア中銀ホルツマン総裁など)に注目があつまります。
「地政学的リスク×米金融引き締め×リスクオフ」の組み合わせが当面ユーロ売り・ドル買い材料として重くのしかかってくると予測されるため、
来週以降はいよいよ心理的節目1.0000(パリティ)割れを見据えたギアチェンジが必要となりそうです。
今週のFX用語
外国為替平衡操作(為替介入)
外国為替市場で外貨需給にアンバランスが生じたとき、中央銀行や財務省等の通貨当局が市場に介入して通貨間の売買を行うこと。
一国だけの単独介入と複数国で行う協調介入がある。日本では財務大臣の権限において実施され、日銀が為替介入の実務を遂行する。
為替介入によって短時間に大量の注文が市場に入ると値段が大きく動くことがある。
EG Synchroの取引通貨とは関係ないが、対日本円の為替も市場では重要材料となります。