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EG Synchro FXサポートです。
今週(先週)のレビュー
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0513で寄り付いた後、以下の材料が重石となり、
週央にかけて、週間安値1.0359(5/13以来、約1カ月ぶり安値圏)まで急落しました。
- 欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによる金融引き締め開始→欧州経済に強い逆風)
- 米インフレ加速を背景とした米長期金利の急上昇
- 世界的な金融引き締めを背景とした過剰流動性相場の逆流懸念(株式市場をはじめリスクアセットが大暴落→資産現金化需要のドル買い圧力)
- ドイツ6月ZEW景況感指数(結果▲28.0、予想▲27.5)の冴えない結果
- リントナー独財務相による「スタグフレーションはあり得るシナリオ」との悲観的な発言
- 米FOMCのタカ派的な結果(政策金利が75bp引き上げられると共にドットチャートも上方修正)
しかし、5/13に記録した約5年4カ月ぶり安値1.0350(2017年1月以来の安値圏)をバックに下げ渋ると、
下記が支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0602まで急伸しました。
- パウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる可能性あり」との慎重な発言
- 上記を背景とした米長期金利の急低下
- ECB臨時会合でのユーロ圏利回り格差緩和策の提示
- フランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは漸進的かつ持続的に利上げを行う」とのタカ派的な発言
- 米経済指標の不冴な結果
- 対ポンドや対スイスフランでのドル売り圧力(英中銀やスイス中銀が利上げ決定→英ポンドやスイスフラン上昇→ユーロ連れ高)
- 短期筋のショートカバー
もっとも、買い一巡後に伸び悩むと欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力が重石となり、1.0495前後で推移しております。
来週(今週)の見通し
ユーロドル相場は5/30に記録した高値1.0788をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時1.0359まで急落しました。
この間、主要サポートライン(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を軒並み下抜けした他、
強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります
(上方から垂れ下がってくる一目均衡表の雲もユーロの重石)
ファンダメンタルズ的に見ても、ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(資源価格再上昇への警戒感)や、
欧州経済の先行き不透明感(ECB理事会が先週発表した2022年のインフレ見通しは前回3月時点の5.1%から6.8%に上方修正。
一方、2022年のGDP見通しは前回3月時点の3.7%から2.8%へ下方修正。
欧州経済にスタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めとなるため、欧州経済に強い逆風が吹き荒れる恐れあり)、
米FRBによるタカ派傾斜(米欧名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力)など、ユーロドル相場の続落を連想させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週はユーロ圏6月製造業PMIやユーロ圏サービス業PMI、ドイツ6月IFO景況指数などに加えて、
欧州当局者発言(エストニア中銀ミュラー総裁、ラガルドECB総裁議会証言、レーンECB専務理事、フィンランド中銀レーン総裁)に注目が集まります。
欧州経済指標が不冴な結果となる場合や、欧州当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは欧州経済の逆風)には、
欧州株の下落を通じて、ユーロドルにもう一段下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週は週を通してユーロドルの下落リスクに注意が必要でしょう
(目先は5/13に記録した約5年4カ月ぶり安値1.0350を試すシナリオを想定)
今週のFX用語
米卸売物価指数 PPI(Producer Price Index)
米卸売物価指数は、米労働省が毎月の15日前後の木・金曜日のニューヨーク時間朝8時半に発表している、
約1万品目の卸売物価を調査しその加重平均をとった指数で、インフレ率の判断材料とされている。
内容的には製造段階別(原材料、中間財、最終財)で品目別の数値が発表されているが、通常「PPI」と言うと、完成品である「最終財」の事を指す。
変動幅の大きいエネルギー及び食品を除いた「コア」指数が注目される。