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EG Synchro FXサポートです。
今週(先週)のレビュー
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0722で寄り付いた後、下記項目が支援材料となって週後半にかけて週間高値1.0775まで急伸しました。
- ECB理事会を控えたポジション調整(ECBによるタカ派傾斜観測→欧州債利回り急上昇→ユーロショート解消)
- ユーロ圏第1四半期GDP改定値(結果5.4%、予想5.1%)の力強い結果
- ECB理事会およびラガルドECB総裁記者会見のタカ派的な結果(ECB理事会にて、資産購入プログラム=APPの7/1付け終了決定や、次回7/21理事会での25bp利上げ方針発表、次々回9/8理事会での大幅利上げ=50bpの可能性が示唆されたことに加え、ラガルドECB総裁からも「インフレリスクは主として上方向」「次回7/21理事会で主要金利を25bp引き上げる意向」「9月にも主要金利が再び引き上げられる可能性がある」
しかし、買い一巡後に伸び悩むと(一目均衡表「雲」をバックに続伸が阻まれると)以下が重石となり、週末にかけて週間安値1.0506まで急落しました。
引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、1.0520前後で推移しております。
- 欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによるタカ派傾斜→欧州経済への下押し圧力→欧州株下落→ユーロ下落)
- 米5月消費者物価指数の更なる上昇(米FRBが今秋以降も金融引き締めスタンスを長期化させるとの思惑→米長期金利急上昇→過剰流動性相場逆流懸念→資産現金化需要のドル買い圧力)
来週(今週)の見通し
ユーロドル相場は6/9に記録した高値1.0775をトップに反落に転じると、週末にかけて、一時1.0506まで急落しました。
この間、主要サポートライン(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を軒並み下抜けした他、
日足ダブルトップのネックライン割れも実現するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。
ファンダメンタルズ的に見ても、下記などユーロドル相場の続落を連想させる材料が揃っています。
- ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(資源価格の上昇リスク)
- 欧州経済の先行き不透明感(インフレ加速と景気後退が同時進行するスタグフレーション懸念
- ECB理事会が発表した2022年のインフレ見通しは前回3月時点の5.1%から6.8%に上方修正された一方、2022年のGDP見通しは前回3月時点の3.7%から2.8%へ下方修正)
- 上記を背景としたECBによる金融引き締めの副作用(欧州経済にスタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めとなるため運営難易度は極めて高い→一歩間違えれば欧州経済を大きく冷え込ませてしまうリスクあり)
- 米FRBによるタカ派傾斜(米欧名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力)
以上を踏まえ、引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。
尚、来週は6/14のドイツ6月ZEW景況感調査に加えて、複数の欧州当局者発言(オーストラリア中銀ホルツマン総裁、リトアニア中銀シムカス総裁、デギンドスECB副総裁、シュナーベルECB専務理事、
ドイツ連銀ナーゲル総裁、スペイン中銀デコス総裁、パネッタECB専務理事、オランダ中銀クノット総裁、ポルトガル中銀センテノ総裁、ラガルドECB総裁、イタリア中銀ビスコ総裁、フランス中銀ビルロワドガロー総裁、スロベニア中銀バスレ総裁など)が予定されております。
ドイツZEW景況感調査が市場予想を下回る場合(欧州経済を巡る悲観論再燃)や、欧州当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは欧州経済の逆風)などには、
欧州株の下落を通じて、ユーロドルにもう一段下押し圧力が加わる展開が予想されるため、来週は週を通して下落リスクに注意を要する1週間となりそうです(短期上昇トレンドが終焉し、短期下落トレンドが始まったと整理)
今週のFX用語
米国連邦公開市場委員会/FOMC
Federal Open Market Committeeの略称で和訳は米国連邦公開市場委員会。
米国の金融政策の一つである公開市場操作(国債買いオペなどを通じて金融機関の資金需給を調節すること)の方針を決定する委員会のこと。
FOMCは、米国の中央銀行ともいうべき米連邦準備理事会(FRB)が開く会合で、FRBの理事や地区ごとの連邦準備銀行総裁で構成されており、
米国の金融政策やフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標を決定する最高意思決定機関である。
また、FOMCは年に8回開催され、現在の景況判断と政策金利(FF金利)の上げ下げなどの方針が発表されます。
その結果が市場の予想とは違った場合には、株式市場や為替レートが大きく変動することがあり、世界の金融マーケットにも大きな影響を及ぼします。